サムライスピリッツ斬紅郎無双剣 あそぼう! 移植版ガイド
25周年(2020年時点)を経て、気付けばさまざまな機種に移植されてきた斬サム。このページでは個性溢れる斬サム家庭用移植版の数々を独断と偏見で解説していきます。いずれも個性的で魅力あるものばかり。さあお好みの環境で遊び倒そう!
このページの画像は全て実機から出力しキャプチャデバイスで撮影しています。環境の特性により、色味の相違やにじみが感じられる可能性があります。引用目的で使用しており作品の著作権は全て権利元の株式会社SNKおよび移植版の発売元に帰属します。
業務用ネオジオ(NEOGEO MVS):1995年11月
アーケード版。原作。すべてはここからはじまった。
家庭用ネオジオ(NEOGEO AES):1995年12月
ご存知100メガショックNEO・GEO。こちらも原作と言っていいでしょう。アーケードの興奮をそのままご家庭で楽しめる憧れのゲームマシン、もちろんゲーム内容はMVS版と全く同じ。電源投入すれば即起動して遊べるスピーディーさはロムカセットならでは。
AES版だけの特徴は対CPU戦が4クレジット制となっている(クレジットがなくなったらゲームオーバー)ことと、オプションの言語設定に「KOREA」があること。KOREA版の『FIGHTERS SWORDS』が遊べる環境はけっこう貴重。そう、骸羅が「キム・ウンチェ」になっていることで有名なKOREA版です。
ネオジオCD:1995年12月
当時もうひとつのネオジオとして積極展開されソフトラインナップの充実を図っていたネオジオCDでももちろん発売。AES版から一か月未満という早期のリリース、現在の視点で振り返ればここまでが初期展開という感じ。何を隠そう筆者が最もお世話になったのがこの機種。みんなはどうかな?
キャラセレでキャラが棒立ち、対峙画面で動物が出ない、勝利時などに出るキャラ名が対峙画面と共通化され小さい……といった演出面の削減がおこなわれているものの、ゲーム内容は基本的に原作と同じ(後述の調整点を除く)。さすがはネオジオファミリー。比較的初期のソフトでありロード時間も短いほう。
CD-DAによる美麗なアレンジサウンド(必聴!)に、リムルルでクリアすると流れるボーカル曲、ソフトをCDとして再生すると聴けるオマケのボイスドラマ(ナコリム漫才)などCD-ROMならではの追加要素が満載。弱点であるロード画面でさえ、全キャラ描き下ろしのグラフィックが用意され見惚れてしまうほど。サービス精神旺盛、世界観を味わうなら最高レベルの一本となっています。
いわゆる移植度とは異なりますが、このネオジオCD版では意図的と思われる調整が幾つか行われておりMVS・AES版と一部のゲームバランスが異なっています。
- 斬紅郎の背面のけぞり中の無敵時間が削除(普通にコンボをくらうように)
- 天草の小足が弱体化(ダメージ超絶低下)
前者はもとがおかしかったからまだいいとして問題なのは後者で、天草唯一にして最大の武器が取り上げられてしまい絶望的に厳しい闘いを強いられます。
また、何故かスタートボタンによる勝利ポーズスキップが削除されてしまいました。そのため修羅ガルフォードでバグらせてしまうと次のラウンドに行けずリセット必須という事態に。まぁ幸いネオジオCDにはソフトリセットがあるのでいいですけど(そうか?)。
ほかにも以下のような細かい追加・変更が行われています。
- オプション追加(対CPU戦の面セレクト・簡易武器飛ばし・対戦モード)
- ゲームクリア時のネームエントリーが可能に
- 斬紅郎の対戦勝利画面追加
- 破沙羅(修羅)の一本目勝利ポーズに篝火の動作を追加
- リムルル(羅刹)の対峙画面の顔を変更
- 骸羅の対峙画面の配色を変更
- 幻十郎ステージの看板の文字を変更
MVS・AES版では未実装だったらしきものも。そんなこんなでこのネオジオCD版がネオジオ系の最終バージョンのような位置付けとなり、1990年代のCD-ROM系移植のベースとなりました。
ネオジオCDスペシャル
1995年11月、ネオジオCD本体購入者に無償配布されたエンターテイメントCD-ROM。同年12月より単品販売もされました。KOF'95や餓狼3といったゲームの体験版集に加え、ディスクマガジン的なエンタメコンテンツを多数収録、バラエティソフトとしても見どころのある一本となっています。
このソフトでは斬紅郎無双剣がネオジオCD期待のビッグタイトルのひとつとして扱われ、開発中素材を使用した告知映像や企画者インタビューなどの貴重な資料を観ることができます(隠し要素扱いのため、解禁には体験版ゲームで好成績を収める必要あり)。当時のネオジオ世界の雰囲気を満喫できる楽しい一本、機会があれば遊んでみては。
詳しくは以下の動画で。
ゲームボーイ:1996年8月
タカラによるデフォルメ格闘『熱闘』シリーズの一本として、各機種の先陣を切って携帯機に移植されました。その名も『熱闘サムライスピリッツ斬紅郎無双剣』。今思えばスピード移植ですね。デフォルメ格闘なのでさすがに原作とは全然別物ながら、なかなかどうして斬サムしている名アレンジ移植として有名。デフォルメキャラでボタンも半減しているのに原作のシステムや必殺技を極力再現、原作のコマンドから推測すればやりたいことがだいたいできてしまうのは凄い。
残念ながら狂死郎と骸羅が欠場となったものの、隠しキャラとして斬紅郎と、なんと柳生十兵衛が参戦。十兵衛は天草降臨に先駆けて真サム衣装で復活、ファン歓喜。斬紅郎・十兵衛ともに対CPU戦でも使用可能で個別ストーリー・エンディングがバッチリ用意されています。
そうこのソフトの最大の特徴は、原作ではあえて「黙して語らず」だった斬サムの世界観・ストーリー面を深く掘り下げていることにあります。全キャラにテキストとイラストによるオープニング・エンディングが追加され、さらに中間デモにもセリフが追加されているなど、とことん物語性を志向した作りに。デフォルメ格闘ゆえのコミカルタッチながら、それまで関連書籍などに触れなければ想像しづらかった本作の物語がゲーム内で明確に描写されています。斬サムの移植は数あれど、この方向性は唯一無二。シリーズファンなら必携の一本となりました。
スーパーゲームボーイ対応で枠はもちろん描き下ろし、隠しキャラ出現後はイラストが変わる芸の細かさ。なにからなにまでファン心理をくすぐってきますね。スーパーゲームボーイ使用時にゲームスピードを向上できる隠しモード、その名も「スーゲーモード」まであります(出し方はゲーム中で明かされます)。
このソフトについてはネット上にも情報が多く、画像や動画なども探せばすぐ出てくるので詳しくはそれらを参照してください。ソフト自体も比較的入手しやすいので是非一度は遊んでみてね。
プレイステーション(初期版):1996年8月
悲しき劣化移植。アニメパターン削減に加え30fps動作の常時スローモー無双剣、ちょっとした無の境地状態。何はともあれ以下の動画を観てくれたまえよ。
ネオジオCD版ベースの移植なのでBGMはアレンジ版でリムルルの歌もあり。キャラ数やステージ構成など大きな削減要素もありません。プレイ感覚の再現性にこだわらず世界観を味わうのが目的であれば十分楽しめます。ただしネオジオCD版の魅力のひとつだったロード画面のイラストは削除され文字だけに。音楽CDとしての再生もできずボイスドラマも聴けません。うーむ。
PS版だけの長所? のひとつが、画面比率の違いにより他機種版では見えない場所が見えること。ガルフォードステージの吊り橋や狂死郎ステージの観客などを見るとよくわかります。そのほか地味な修正点として、原作では短すぎたネームエントリーの制限時間が延長され、どのような文字の組み合わせでも余裕をもって入力可能になりました。これは純粋に褒めていいんじゃないでしょうか。
現代のゲーマーには想像しづらいかもしれませんが、当時のPSは同時代のリッチな2D格闘を移植するにはチカラ不足。それでも日増しに大きくなる市場を無視できず、劣化移植・無茶移植が当たり前。そんな光景をアーケード派は生暖かい目で見守っていたものでした。アニメパターン削減など日常茶飯事で、タッグシステムを削るとかライン制を削るとか、代わりにオマケ要素を入れるとか、それぞれに工夫が見られて楽しかったものです。そんな中この子は馬鹿正直に原作を再現する方向を目指してしまったのか、スペックが追い付きませんでした。そんな時代の雰囲気を味わってみるのもまた一興。原作と比較すると悲しい劣化移植であることは間違いありませんが、PS移植の存在がコンテンツの間口を広げることに繋がっていたとしたら、それはそれで歴史的意義があったといえるでしょう。
ネオジオ系ではモノクロだった取説がフルカラーになり総ルビに。表紙イラストも描き下ろしの新規イラストになりました。商品展開としてはなかなかチカラが入っていたことを窺わせます。あぁ、デキが追い付いていれば。
約半年後に修正版が発売されました……がコレがまたとんでもない代物に。後述。
PS版斬サムの取説(初期版・ベスト版ほぼ共通)。モノクロだったネオジオ系からフルカラーになって総ルビに。なかなか力が入っていたのでは?… pic.twitter.com/F3JZ7nzpoE
— もよよん (Moyoyon) (@MoyoMoyoGaming) May 31, 2024
セガサターン:1996年11月
ネオジオCD版の移植+α。高いハード性能と拡張RAMカートリッジの合わせ技による驚異の移植度、さすがは脳天直撃セガサターン。拡張RAM必須(通常ラムでも4MラムでもOK)。
ネオジオCD版のほぼ完全移植に加え、特筆すべきはオプションで攻撃力と制限時間をいじれるようになったこと。攻撃力ゼロ・制限時間無制限にすれば対戦モードを疑似トレーニングモードとして使えるため家で斬サムの練習がし放題。トレモ環境としては令和の今なお最高レベルの一本です(アケアカやサムコレにはトレモが無いため、2021年現在でもトレモ運用ができるのはサターンか六番勝負のみ)。
サターンの魅力のひとつである6ボタンパッドとの相性も抜群。「ABCZ」という指に馴染むデフォルト配置に、同時押しボタンや簡易武器飛ばしボタンが標準装備になりました。プリセットのボタン配置が多数あるうえエディットも自由自在。遊びやすさが光ります。いっぽう対CPU戦の面セレクトは「一度クリアした面まで選択可能」という仕様に変更。最初からエンディングまで全開放だったネオジオCD・PS版と比べると「ゲーム的」になったといえるでしょうか。
さらにサターン版ではMVS・AES版以来のスタートボタンによる勝利ポーズスキップが復活。PS版の長所であったネームエントリーの制限時間延長はしっかり受け継ぐなど、後発だけあって集大成の趣き。
SE・ボイスの音質低下、ロード画面が汎用の一種類……など残念ながらネオジオCD版に劣る点もあるものの、内容的には1990年代当時の決定版といえる一本でした(天草の小足は最後まで復活しませんでしたが)。拡張RAM同梱版も発売され、リムルルと閑丸をフィーチャーしたメインビジュアルが各所で物議を醸したりオタクを沼に落としたりしました。
【#サムコレ お宝イラスト紹介】
— SNKオンラインショップ公式 (@snk_onlineshop) June 17, 2020
今回ご紹介するのは、「サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣」のNEOGEO版とセガサターン版のメインビジュアル!
前者は渋く、後者は可愛らしいデザインになっています。
ちなみに、セガサターン版は「と〇め〇斬紅郎」と呼ばれたとか…。https://t.co/LrYgozxiYk pic.twitter.com/rrtusLLzc1
TVCMも放映されました。たしかゴールデンタイムに流れていたような記憶(うろおぼえ)。「日本中をサムライにしよー」の合言葉を覚えている人もいるのでは?
その後1998年8月に『サムライスピリッツベストコレクション』として天草降臨とのセット商品も発売。パッケージイラストが新しく描き下ろされているのでファンならばゲットしておきましょう。余談ながらサターン版の天草降臨は4Mラムで起動するとグラフィックが愉快なことになるため天草降臨を普通に遊びたいなら通常ラムが必要になります。
プレイステーション(後期版):1997年3月
廉価版シリーズ「PlayStation the Best」として発売されたバージョン。「処理スピードアップで、よりスピィーディーな対戦を実現!」(原文ママ)を謳った待望の修正版、果たしてその実態は……無理矢理ゲームスピードを高速化した常時早送り無双剣でした。違う、そうじゃない。
触ってすぐにわかるのがキャラの挙動の異常さ。歩けば猛烈な速さでズカズカ移動し、ジャンプは一瞬で着地。さらには距離の計算をマトモにしていないのか、ちょっとした動作で想定以上に間合いが離れたり近付いたりといった事態が多発します。とくにズームイン・ズームアウトが絡むと愉快なことになるっぽい。画面端から反対側まで猛スピードで突進するエレルシ カムイ リムセなどは爆笑モノ。
たしかにスピード感は上がったものの、ゲーム自体の再現性は初期版のほうが上……という、なんとも甲乙つけ難い感じでしょうか。まぁ以下の動画を観てくれたまえよ君ィ。
PSP・PS3・Vitaのゲームアーカイブスとして配信されているのがこのバージョンで、近年まで最もライト層が手に取りやすい斬サムがこれでした。アケアカやサムコレが出てホントに良かったですね!
さてこのPS版斬サム、その後2003年4月にも「PS one Books」(SNK BEST)枠で再販されたのですが、なんとこちらは初期版仕様(セーブデータも共通のためホントに同じ)。高速化は無かったことになったのでしょうか。ジャケットのイラストが新しく描き下ろされているのでファンならば揃えておきたいところ。さぁキミもPS版斬サムコレクションを完成させよう!
ゲームアーカイブス(PSP・PS3・Vita):2007年6月
PS後期版のアーカイブ配信。詳細はPS後期版の解説を参照。
サムライスピリッツ六番勝負(PS2・Wii):2008年7月
ここから21世紀の移植になります。オムニバスソフト『サムライスピリッツ六番勝負』の一本として収録されました。家庭用ゲーム機の高性能化が進み、旧作ゲームの復刻における「移植度」の心配が次第に少なくなってきた時代の出来事です。
MVS版のほぼ完全移植。ベースがMVS版のため家庭用系の追加要素はありませんが、オプションでアレンジ版のBGMに切り替え可能。2021年現在のサムコレなどでは失われてしまった要素です。
当然のようにプラクティスモードを実装し、ゲーム内コマンドリストも表示可能、キーコンフィグも自由。さらにオマケ要素としてカラーエディットも搭載するなど時代に合わせ着実に進化した一本となりました。PS2版では「マルチマッチングBB」によるオンライン対戦も可能でした(サービス終了)。
ところがそのプラクティスモードに不具合が……。CPUのガードをONにした状態で背面に回ると、ときどき自キャラが相手と反対を向いて技を繰り出すという不具合があります。見た目がかなりシュールで笑えますがプラクティスモードとしての実用性にちょっぴりケチがついた形に。まぁ背面ならヒット確認も楽だしガードを切ればいいのですが。
そのほか六番勝負のネオジオタイトル全体に言えることとしてグラフィックを無理矢理スケーリングしたせいか画面全体がボンヤリしてしまっています。原作のパキッとした魅力が損なわれてしまいちょっと、いやかなり残念。時代の要請か一部の画面フラッシュが抑制されていることも相違点。
とはいえ初代~剣サムまで6本のサムスピが一気に遊べるのはお得に尽きます(零SPは未収録)。とくに2021年現在ではプレイ環境が限られる剣サムは是非遊んでおきたいところ。六番勝負の剣サムは隠し要素全開放&アレンジボイス収録など単品版よりパワーアップしています。
ついでに、書くところがないのでここで書きますが(笑)、Wii版にはWiiリモコンで遊ぶミニゲームが追加されており結構楽しいのでオススメしておきます。動物キャラ(シクルゥ&ママハハ・パピィ・パクパク・チャンプル)を操作してアイテムを拾い集めるという固定画面ゲームで、リモコン操作がなかなかもどかしく、シンプルながら一瞬ハマれます。弊サークル雨峠によるプレイ動画を貼っておきます。
Samurai Shodown Anthology(PSP):2009年10月
海外で発売されたPSP版の六番勝負にも収録されています。海外ソフトですがPSPはリージョンフリーなので入手さえできれば国内の本体で普通に起動できます。
携帯機とはいえ流石は21世紀、MVS版のほぼ完全移植(後述の問題点あり)。原作そのままの忠実移植が手の中に収まる感覚はなかなか感動的。プラクティスモードあり、PS2・Wii版の不具合も解消されています。グラフィックをドットバイドットのクッキリ表示にできるようになったのも嬉しいところ。アレンジBGMとカラーエディットが削除された代わりにギャラリーモードが追加されておりシリーズのBGMやイラストを鑑賞できます。
最大の問題はUMDの読み込みがあまりにも頻繁にあることでしょうか。メモリになにか新しいものを書き込むたびにロードしているのではないかと思わせるほどで、試合中でも容赦なく一時停止を繰り返します(シャーシャー唸りを上げながら)。しばしばネタにされるPS版天草降臨の「勝負!→ロード」など可愛いもの。正直かなり笑えます。
そのほか、ロード画面などにちょくちょく挿入されるキャライラストが全部剣サムなので世界観が取っ散らかっているという問題(?)もあり、これも結構笑えます。……という感じで問題はあるのですが、なんとなく憎めない一本なのは気のせいでしょうか? ファンアイテムとして妙な魅力があります。見かけたらゲットしておきたいですね。
ちなみにこのソフト、MVS版ベースの移植のなかでも貴重な「13日にワンコインクリアすると出現するデフォルメキャラ」を確認できる移植のひとつとなっています。おそらく後述のアケアカとこれだけ。その点でも貴重な一本です。
Wiiバーチャルコンソールアーケード:2010年4月
Wiiのバーチャルコンソールでも配信されています。いや、「いました」。ご存知のとおりWiiショッピングチャンネルが2019年1月にサービス終了、バーチャルコンソールの膨大なソフト資産もすべて闇に滅してしまいました。嗚呼……。今から遊ぶためにはインストールされた本体ごと入手するしかありません。
AES(家庭用ネオジオ)版のほぼ完全移植でゲーム内容的にとくに気になる点はなし。相違点としては画面フラッシュの多くが排除されていることが挙げられます。攻撃ヒット時のフラッシュが一切ないため慣れないとそこそこ違和感がありますが、とっても目に優しい、良い子と良い大人の斬サムです。
AES版ベースというのがポイントで、言語設定を「KOREA」にできる数少ない移植のひとつ。WiiU GamePadに映し出されるキム・ウンチェの勇姿! 返す返すも配信終了が惜しまれる……。
SNKさん、バーチャルコンソールのサイト残してくれているんですね。ありがたい。ネオジオに限らずVCの説明書って見やすくて好きです。
NEOGEO X:2013年6月
米国Tommo Inc. がSNKプレイモア(当時)より正式な許諾を受けて販売していたネオジオ型ゲーム機『NEOGEO X GOLD Entertainment System』でも遊ぶことができました。追加パッケージである『NEOGEO X CLASSICS VOLUME 2』の一本として収録(追加パッケージをひとつにまとめたNEOGEO X Mega Pack: Volume I としても収録)。こちらもAES版ベースの移植。
現在ではハードもソフトもけっこうレアでプレイ環境を用意するのも一苦労。携帯モードに関していえばやはりちっちゃな画面でネオジオが動いているのを見るのはロマンがあって萌えるものがありました。今から見るとNEOGEO miniやSwitchのご先祖様的な存在かも。良くも悪くもコレクターズアイテムといえます。
ハードについて詳細は公式サイトや4Gamer様のレビュー記事等を参考にしてください。
アケアカNEOGEO(PS4・Xbox One・Nintendo Switch・Windows10):2018年2月~10月
株式会社ハムスター様によるアーケードゲーム復刻プロジェクト『アーケードアーカイブス』に連なる一本として現代環境で好評配信中。もちろん完全移植で言うことなし、いい時代になったものです。プレイ感覚としては2021年現在で最も原作に近く(というか遜色ない)、完全体に近い一本。とりあえず正統派の斬サムを純粋に遊びたい……というのであれば間違いのない一本です。
アケアカのコンセプト上、当然ながらMVS版の移植となっており家庭用系の追加要素は一切ありません。ゲーム内コマンドリストがありながらインストラクションカードに書いてあった技しか載っていないというこだわり(?)っぷり。弊サイトのような外部情報を活用しましょう。他のMVS版ベースの移植よりも優れている点として、MVSマザーの内蔵時計まで再現しており、かつゲーム機側の時計と連動して動作していることが挙げられます。「13日にワンコインクリアすると出現するデフォルメキャラ」を確認できる移植はおそらくアケアカとPSP版だけ。
アケアカNEOGEOはWindowsストアアプリとしても配信されているためゲーム機がなくても遊べます。スペック低めなPCでも十分動くので、ある意味理想の携帯ネオジオかも。
以下は機種別の公式サイトのリンクです。ストアへのリンクもあるのでぜひどうぞ。安価なのでとりあえず持っておきたいですね。
その後2021年よりアケアカNEOGEOがスマートフォン向けにも配信を開始、2023年2月に斬サムが追加されました。スマホ版については該当項目で。
NEOGEO mini:2019年6月
2010年代後半にわかに流行した「ミニハード」系ゲーム機のひとつであるNEOGEO mini。様々なバージョンが発売され収録ゲームが異なっていますが『NEOGEO mini サムライスピリッツ限定セット』と銘打たれたシリーズに斬サムが収録されています(同系列の商品であるアーケードスティック型ゲーム機『NEOGEO Arcade Stick Pro』や、ホームアーケードマシン『MVSX』、NEOGEO miniの後継商品『MVS mini』にも収録)。
アーケード筐体風の外観ながらAES版での収録で、KOREA設定にもできます。エミュレータベースのホビー商品であり特筆すべき点はありませんが、メモリーカード挿入状態のネオジオをエミュレートしているのがちょっと面白いところ。エミュレータ側のクイックセーブとは別にネオジオ仕様のセーブが可能。現代では貴重なメモリーカード操作が楽しめます。
残念なのが映像を外部出力した際のゲーム画面がボケていること。六番勝負に続きまたしても……。スケーリング後にフィルタをかけているようなのですがユーザー側に外す選択肢が提供されていません。本体液晶でのプレイならクッキリハッキリドットバイドットなのでこだわるなら本体で遊ぼう。また『NEOGEO Arcade Stick Pro』ではフィルタなしを選べるらしいので買っちゃうのも手かも。
NEOGEO mini版については弊サークル雨峠・さりぴの以下一連のツイートに詳しいのでどうぞ。
コレまで書いてなかったので少しココで。
— さりぴ (@saripi_amtug) September 19, 2020
・NEOGEO mini サムスピ版
NEOGEO版の完全移植。
メモリーカード装着状態になっている為、ステージ進行状況の保存が可能で、昨今の移植では珍しく本来の形でのセーブを搭載。フォーマットも楽しめる。
コレとは別にどこでもセーブ&ロードも4スロット搭載(続 pic.twitter.com/luGYwSPavX
NEOGEO mini本体でプレイ時はドットバイドット?で綺麗な画面だがHDMI接続時はややボヤける(かレトロフリークのような補間画面の二択。設定で切り替え可能)のがやや気になる点。何というか、小さなドット画像をバイリニア法で引き延ばした感じ。(続 pic.twitter.com/RqYW0QHrBe
— さりぴ (@saripi_amtug) September 19, 2020
別売りNEOGEO mini専用NEOGEOパッドコントローラは見た目はそっくりなものの、本家NEOGEOパッドと比較して操作感は全てのボタンが固め&方向キーはクニュクニュとしていて、かなり似て非なるもの(右)。カチカチクリック感があるコントローラは本家NEOGEOパッド(左)とNEOGEOポケットの特権。(続 pic.twitter.com/ezizUfB3YV
— さりぴ (@saripi_amtug) September 19, 2020
上記XポストにもあるようにNEOGEO miniの付属コントローラーは、見た目こそネオジオCDのコントローラーに似ているものの操作感はかなり別物。より快適な操作性でNEOGEO miniを楽しむ方法として以下の3つが知られています。
- 他機種のコントローラーを変換して使う
- NEOGEO Arcade Stick Proを使う
- 8BitDo NEOGEO Wireless Controllerを使う
お気に入りのコントローラーを使いまわすなら「1」がおすすめ。代表的なコンバーターとしてMAYFLASHの「MAGIC」シリーズとコロンバスサークルの「NEOGEO mini用スーパーコンバーター」があり、前者は多くのゲーム機で使えるかわりにNEOGEO miniのボタン配置が(NEOGEO miniデフォルトと同様の)縦ボックス配置固定。後者はNEOGEO mini専用ですがボタン配置のカスタマイズができます。縦ボックスでいい・コントローラー側で対応できるならMAYFLASH MAGICシリーズが、そうでないならスーパーコンバーターが良いでしょう。MAYFLASH MAGICシリーズについて詳しくはKVC lab.(けーぶいしーらぼ)さんのブログ記事がわかりやすいです。スーパーコンバーターについてはコロンバスサークルさんの商品ページをどうぞ。
続く「2」はNEOGEO mini用のコントローラーとして使えることもウリのひとつですが、斬サムを遊ぶだけならNEOGEO Arcade Stick Pro自体に斬サムが収録されているためわざわざNEOGEO miniを介する必要は無いかも。「3」は2023年8月に発売されたWindows・Android・NEOGEO mini対応コントローラーで、ネオジオCDコントローラーの復刻というコンセプトに恥じない再現性が魅力。詳しくは以下のまとめを参照してください。オススメ。
【まとめ紹介】8BitDo NEOGEO Wireless Controller 買ったよhttps://t.co/Ic0tSD8A2Z
— もよよん / Moyoyon (@MoyoMoyoGaming) 2024年2月4日
2023年8月発売の8BitDo NEOGEO Wireless Controllerを買ったからいろいろ遊んでみた記録 pic.twitter.com/xtnGgB8yF3
サムライスピリッツネオジオコレクション(Epic Games・Steam・PS4・Xbox One・Nintendo Switch):2020年6月~7月
令和の一大プロジェクト、Digital Eclipseによる豪華オムニバス『サムライスピリッツネオジオコレクション』の一本として収録。
【情報解禁】
— SNKオンラインショップ公式 (@snk_onlineshop) May 27, 2020
「サムライスピリッツ ネオジオコレクション」、ここに推参!!
幻の未発売タイトルを含むシリーズ7作品を収録!
さらに、全タイトルオンライン対戦機能を搭載!
武士たちの血闘を刮目せよ!
本日より予約開始!https://t.co/LrYgozxiYk#SNK #サムコレ pic.twitter.com/DgL1aYKtxn
Digital Eclipseのコレクション系ソフトではおなじみの豊富な設定資料・イラスト集が最大の魅力。HD環境での鑑賞に堪える高画質で、レアな資料を穴が開くほど眺められます。ここだけにしかない資料もわんさかありベテランのサムスピマニアも必見。正直コレだけでも元が取れます。
MVS版のほぼ完全移植でシリーズ7作品が遊べるうえに前述の資料やサウンドトラック機能などとにかく盛り沢山な一本。Steamストアはじめ各オンラインストアのセールで割引対象になることも多いので未所持なら買っちゃいましょう。
現代のソフトらしくオンライン対戦にも対応。マッチング機能は最低限ですがダラダラと遊ぶには却って気楽でいい感じ。機種間のクロスマッチングは無いもののEpic版とSteam版は同一として扱われます。2024年9月現在、複数のプラットフォームで対戦会が開催されておりけっこう盛り上がっています。
#斬サム オンライン対戦会まとめ(2024年9月現在)
— もよよん / Moyoyon🧊🩵 (@MoyoMoyoGaming) 2024年9月13日
PC(Steam / Epic)→ #おうち斬サム
Nintendo Switch → #おうち斬サムSwitch部
PlayStation 4 / 5 → #おうち斬サムPS部 pic.twitter.com/2sEgCUseFA
どこかに書いておくと便利なので #サムコレ のオンライン対戦の遊び方まとめ。
— もよよん / Moyoyon (@MoyoMoyoGaming) 2024年2月23日
①ゲーム選択→「対戦」→「オンライン」を選ぶ
②お好みのモードを選ぶ
オンライン対戦では事前の設定にかかわらず海外版のゲームが起動します。
各モードの説明は続くポストで↓ pic.twitter.com/JSQqjpmei7
上記Xポストにもあるとおりオンライン対戦は海外版で固定です。海外版では開幕行動のタイミングが異なるため、あらかじめ遊んで慣らしておくと良いでしょう。
サムコレの発表から発売にかけての記録を以下にまとめてあります。界隈の大きなお祭りでした。今回のプロジェクトを掘り下げた各メディアの記事もあり、かなり読み応えがありますので是非じっくり読んでみてください。
【まとめ紹介】サムライスピリッツ ネオジオコレクションhttps://t.co/uSdxVEFizu
— もよよん / Moyoyon (@MoyoMoyoGaming) 2024年2月4日
2020年6月発売、#サムコレ ことサムライスピリッツネオジオコレクションに関する記録・思い出。
今回のプロジェクトや零SP完全版復活の経緯などに関するインタビュー記事類が読み応えありです。感謝…… pic.twitter.com/NKDzplYPk7
以下はここだけの話。ソフト内に「プロの対戦動画」というコーナーがありますが、対戦している人は別にプロゲーマーではなく、とあるゲームセンターの大会に集まった一般のお兄さんたちです。なぜこんなコーナー名になったのかは謎。このうち、サムスピ零と零SPの試合を実況しているのは当サイトの管理人。そう、この文章を書いている人です。なお、ソフト内のどこにも私の名前は載っていません。
アケアカNEOGEO(iOS & Android):2023年2月
2021年11月30日よりスマートフォン(iOS & Android)向けにもアケアカNEOGEOが配信開始となり、2023年2月16日、斬サムがそのラインナップに加わりました。
ゲーム的には他機種版のアケアカNEOGEOと違いはみられず、おそらくMVS版の完全移植。他機種版に引き続き、端末の日付をいじって「13日にワンコインクリアすると出現するデフォルメキャラ」を表示できるのも素晴らしい(iOS & Androidいずれも確認)。
スマホ版のアケアカNEOGEOではオプション周りが一新されており、やや扱いづらかった中断セーブが一般的なスロット選択式のクイックセーブ・ロードに変更されるなど、全体的にわかりやすく、使いやすくなりました。項目や階層の移動もバシバシ軽快。アケアカとしても進化形と言っていいのではないでしょうか。
当然ながら携帯性や取り回しの良さは抜群で、アプリの価格も他機種版より安いと文句のつけようがない逸品。買おう。2023年2月現在、MVS版ベースとしてはコレが最高の移植版斬サムと言っても過言ではありません。
とはいえそれはソフト面だけの話。なにしろこれはアーケードゲームであり対戦格闘ゲーム。コントローラーや画面などハード面のプレイ環境にも人それぞれ好み、こだわりがあるもの。そのあたりの事情や用途によっても本ソフトの価値は変わってくることでしょう。
以下はアケアカNEOGEO総合の公式サイトのリンクです。なんかスマホ版はハムスターっていうよりSNKが前面に出ているんですね。