サムスピシリーズでいろいろやるサイト

止水 in 雨峠 。◇゚

システムについて学んだところで、本章では、実際の対人戦に臨む上での動き方、考え方の指針について簡単に提示してみることにする。

本作の対戦には一般的な2D格闘ゲームとは大きく違う発想、知識が必要になる。キャラごとの攻略に入る前に、全キャラで共通する立ち回りのポイントをいくつかおさえておきたい。

もちろん、これまでのシステム解説でも実戦における考え方のパーツは提示してきたつもりだ。時折システム編も読み返しつつ学んでいってほしい。

侍魂は武器格闘である

サムライスピリッツシリーズは武器格闘ゲームである。登場人物たちは思い思いの武器を手に闘いに臨み、彼らが身につけている剣法もそれぞれ全く違う。武器を持っているということは、徒手空拳での闘いに比べて技が遠くまで届くということだ。

それはつまりキャラごと、技ごとにリーチの長短の差が激しく、キャラによって得意・不得意な間合い、技によって適切な間合い・適切でない間合いがあちこちに存在するということになる。

キャラごと、技ごとの得意な間合いを熟知し、その間合いを維持して闘うようにすることがまず重要だ。

牽制技を探そう

武器を用いた闘いで基本になるのは牽制(けんせい)である。得意な間合いを維持し、それ以上の不意の接近を抑止するために、速く、長く、使いやすい技を置いておくことを牽制という。

ほとんどのキャラが、小斬り・中斬りを中心に、この牽制に便利な技をひとつふたつ、あるいはそれ以上持っている。使いたいキャラを決めたら、まずは便利な牽制技を探し、その速度や間合い、使いどころをカラダで覚えていこう。この技の距離が対戦の全ての起点となる。

ゲームにある程度慣れてきたら、持ちキャラだけでなく、相手となるキャラの牽制技性能も知っておきたい。実戦では、お互いに接近を警戒しつつ牽制で出方を見合う、牽制合戦が生まれるからだ。

基本は歩きとガードから

牽制合戦では、お互いが、お互いの有利な間合いを維持したい。得意間合いはキャラによって少しずつ違うので、不利な間合いにいる側は、自分の得意間合いまで近づく、もしくは離れなければならない。移動しながら闘う必要が生じるわけだ。

最も簡単で、そして重要な移動はレバー左右の歩きである。サムライスピリッツでは、歩いて間合いを微調整することが極めて効果の高い行動だ。リスクが非常に少なく、細かな調節が容易。基本動作といっておろそかにせず、しっかり身につけておこう。

牽制、つまり攻撃に対処するのが防御だ。最も基本的で、かつ有効な防御行動はガード。これまた基本中の基本の動作だが、立ち回りで極めて重要。相手の牽制を食らわないことはシンプルだが大切なこと。無闇に移動していれば素早い牽制を貰ってしまうわけで、歩きと対になる行動でもある。

ちなみに、リーチの長いキャラの長所は、この「移動に牽制が刺せる」という点だ。リーチの短い側は得意間合いを活かすために、どうしても前に出なければならない。その間に相手の牽制を貰ってしまえば、体力が減る。それを取り返すためにさらに接近しなければならないが、また攻撃を貰って取り返せない……。リーチの長い側は守りを固めつつ、近寄る相手を突いていればよい。遠距離キャラが待ち戦法主体になるのはこのためだ。

逆に、リーチの短いキャラは総じて歩き以外の接近手段、近距離戦での手数や小回り、選択肢に優れる。リーチの短いキャラの接近を凌ぐこと、ひとたび接近されて守り抜き、再び間合いを離すことは遠距離キャラにとっては難しい。……余談が続いたが、これがキャラクターごとの個性ということだ。

ガードにどう対抗する?

話をガードに戻そう。本作のガードは非常に強力だ。他の格闘ゲームのように、ガードを崩すための素早いしゃがみガード不能技などほとんどないし、必殺技も出の遅いものが多いので削りも容易に回避できるものばかり。

そして武器攻撃はガードされると弾かれモーションになり隙が生まれる……つまり牽制技はガードした側に主導権が移るのだ。ひとたび牽制をガードすれば、牽制を刺し返す権利、間合いを調節する権利が自動的に生まれる。牽制合戦でこれほど便利なコトはないとわかっていただけたと思う。

ガードが強力なことはわかった。では、そのガードにどう対抗するのであろうか?

ここでシンプルな読み合いが発生する。牽制をガードし有利時間を得た相手が取る行動は大きく分けて三つ、牽制を刺し返してくることと間合いを調節すること、とりあえず様子見することだ。

ひとつめの刺し返しに対しては、その牽制をこちらがガードすれば主導権が交代する。こんどはこちらのターンだ。ふたつめの間合い調節に対しては、こちらが再び牽制技を置けば、前進してくる相手にヒットする。後退と、みっつめの様子見は似たようなもので何も起こらないと考えていい。

ごくごく小さくシンプルな読み合いだが、これがサムスピ対戦の基礎といっていい。この読み合いに勝ったほうがダメージ、あるいはダメージに近づく権利を得る。基本はこの繰り返しだ。

上で述べたみっつの選択の真ん中に注目してほしい。ここでは、再度の牽制を警戒し、ちょっと移動してガード、というのが移動側にとって最もリスクが少ない選択になる。そうすれば牽制をガードして、より近い間合いで再び主導権を握れるわけだ。

牽制側はこれを警戒し様子見、後退も有効。こうなると、お互いが何も技を出さずにちょっとずつ移動したりしなかったりする、いわゆる「ジリジリした睨み合い」が生まれることになる。この瞬間がサムライスピリッツならではの面白さの一つといっていいだろう。

立ち回り応用編 踏み込みなどの大量高速移動

この立ち回りに変化をつけるのが、システムの踏み込み・退き込みだ。

踏み込み・退き込みは言うまでもなく高速での移動。今までの歩きの代わりに組み込めば、より多い間合いを一度に移動することができるだろう。

そのかわり弱点もあり、それは隙が大きいこと。「踏み込み急停止」(システム詳説編参照)があるとはいえ、歩きに比べればずっと隙は大きい。踏み込み中に攻撃されたらまず防げない。

退き込みは間合いを離すため反撃は受けにくいが、相手の踏み込みと重なった場合は追撃を受ける可能性がある。また退き込み自体を攻撃されてしまうことももちろんある。

同様に多くの距離を移動できる行動がジャンプだ。ジャンプはよりハイリスクだが、反応されなければ相手の意識の外から大量に移動することができる。攻めとしての期待値も高い。

しかしこれも相手の踏み込みと重なると「くぐりダッシュ攻撃」で簡単に落とされてしまう。また滞空時間や移動距離が大きすぎて使いにくいキャラもいるだろう。

踏み込み・退き込み・ジャンプでの大量高速移動は、相手の選択がすでに述べたガードや様子見だったときに有効だといえる。やはりこれも読み合いの一種である。

立ち回り応用編 弾き返しで牽制に対抗

弾き返しは相手の攻撃を弾いて隙を作る防御行動の一種。牽制に便利な技の多くは弾き返しが可能な技であるため、狙い済まして使えばかなり有効な対抗手段になりうる。

弾き返しからは全キャラで大斬りや連続技が確定してしまうためリターンは牽制技の比ではない。状況次第では積極的に組み込んでいきたい行動といえる。

弾き返しに対して有効なのは牽制のタイミングをズラすこと。弾きを空振りさせればその隙に中斬りぐらいなら楽に入る。大斬りが入るキャラもいるが、おおむね弾かれるリスクに対してダメージは小さいといえるだろう。つまり弾き返しを意識した相手は様子見が増えるということで、この点でも弾きは有効。

しかし当たらない弾きばかりしていて隙を突かれまくっていてはやはり被害が大きくなるし、その間に自由に移動されてしまうことにもなる。弾き失敗の間に稼がれる時間・距離はガードの比ではない、とも言える。

弾きの弱点は弾けない技が多数存在することだ。蹴り技やダウンする攻撃、そしてダッシュからの投げに対しては無防備。弾けない技をどれだけ持っているかがキャラの個性、強さになってくる。

つまり弾きは牽制に対しては滅法強いが、牽制以外にはまるでだめ。相手の選択が牽制以外だった場合には突かれ投げられ動かれて、自分の動きを止めるだけのただの隙、ということになるだろう。

立ち回り応用編 不意打ちなどの上位攻撃

一部のキャラで有効なのがリーチの長い不意打ちを、接近抑止として置いておくことだ。

不意打ちは判定の強いものが多く、とくに踏み込みでの接近に対して強い。弾き返しもされないので弾き対策になる。威力も牽制技を上回り、ヒットすればダウンを奪える。そのかわりガードされれば何らかの反撃を受けてしまう。

一部のキャラでは不意打ちではなく大斬りや蹴り技、必殺技がこれと同じような役割をするだろう。「発生がやや遅く隙があるが、威力が高く、相手の接近、とくに踏み込みに対して有効な攻撃全般」ということだ。わかりにくいかもしれないがちょっと考えてみてほしい。

以上三点、見てきた踏み込み・弾き・不意打ち等、を立ち回りの応用行動として考えていきたい。

基本行動よりリスクもリターンも上昇した、それぞれ歩き・ガード・牽制の上位行動と言っても良いだろう。これらの上位行動に加え、キャラごとの特徴・得意戦法が、基本の読み合いに変化をつけ、お互いにダメージを奪う機会、奪われる機会を生み出し、ゲームがさらに進行していく。これが格闘ゲームのシステムの面白さといってもいいだろう。

立ち回り応用編 弾かれキャンセル

立ち回りの解説の最後に、システム解説のページでも説明した弾かれキャンセルについて軽く触れておく。詳しくはシステム詳説編を見ていただきたいが、本作の大部分の斬り技をガードされることによって生じる隙は、必殺技や弾きでキャンセルが可能だ。

これを活かすことで、すでに説明した基本の読み合い、「牽制をガードして得た有利時間」の駆け引きがさらに深化する。相手がすぐさま次の手を繰り出してくるかもしれないし、牽制を刺し返したら弾かれるかもしれない。より読み合いが激しくなっていくのだ。

相手がどの技にどんな弾かれキャンセルを仕込んでくるか?を考えながら闘いたい。もちろん、自分が使う場合でも同様、どこに仕込めば有効か、を考えていこう。自キャラ、そして相手キャラの弾かれキャンセルの知識は必須だ。

投げ登場

さて、ここからは話を変えて投げを主軸にした接近戦の話になる。

本作の強力なガードに対抗する最も有効な手段が投げ(防御崩し)だ。発生が非常に速いため、ほとんどの打撃に打ち勝って相手のガードを崩すことができる。ダメージも大きい。

しかし当然ながら相手に最接近しないと決まらない。近づく前には牽制や小技などを食らう可能性が充分あるだろう。そしてシステム編で解説したように、投げに直接対処する「投げ回避行動」が多数あるため、読まれれば回避されてしまい、隙に手痛い反撃を受けてしまう。

小技と接近戦

接近戦ではこの投げがあるうえ、単純にお互いの距離が近いため駆け引きのスピード・密度は上昇する。

じっとしていれば投げられてしまうが、小技を置いておけば最接近を阻止できる。だが当たってもリターンは安い。投げを誘って回避すればより大きなダメージを与えられる。逆に投げを仕掛ける側は踏み込み急停止などで投げ回避を誘えばその隙に投げを決めることができる。その接近を直接斬るか?その様子見を読んで投げ返すか?接近して小技の当て合いに持ち込めばあとは混戦、どちらが投げを決めるチャンスもある……投げを主軸にした接近戦、とはだいたいこういう内容になるかと思う。

接近戦に臨むにはまず、最接近抑止に有効な小技を探しておくことが重要だ。そして当然ながら、自キャラに最も合った投げ回避(4Dが遅いキャラもいれば伏せからの反撃がないキャラもいる。)と、そこからの反撃方法を知っておくことも必要不可欠。あとは実戦で経験を積み、ハイスピードな駆け引きの呼吸を読む訓練をしていこう。

この接近戦の駆け引きに、接近戦から逃げるためのジャンプやバックステップ、キャラごとの、カウンターに優れたハイリスクハイリターンな技(昇竜系や、小技を潰すための不意打ち等も含む)、投げ回避行動に当たる打撃……といった要素が加わってゲームが進行することになる。

まとめ

駆け足になったが、以上が本作における対戦の駆け引きの指針、一例である。

文章だけだとわかりにくいと思うが、是非実際に対戦を繰り返し、実戦での各場面を思い浮かべながら熟読してほしい。各自読み解きながら模式図等を描いてみるのも非常に役立つだろう。

要点を整理すると

  • 1:歩き・ガード・牽制
  • 2:高速移動・弾き・上位攻撃
  • 3:投げ・投げ回避・最接近抑止・様子見

というのが、全キャラで共通する基本的な攻防のパターン、パーツとなるだろう。

次章では、いよいよキャラクター別の攻略に入る。システム解説や本章で学んだ内容を踏まえながら、使用キャラに合わせた立ち回り・戦法を、各自身に付け、また編み出し、対戦を楽しんでほしい。